公開 2026-08-31スワアビラボ編集部

スワップポイントは他社に合わせて決まるのか — 10社の公表値で実測

FX会社のスワップポイントは各社で似た数字が並ぶことがあり、他社を見て合わせているのではないかと言われます。当サイトは10社の公表値を毎営業日そのまま記録しているので、ある会社が金額を書き換えたとき、新しい額が他社と同じだったかを数えられます。結論から言うと、この期間の記録からは「合わせている」とは言えません。理由を3つ、数字と一緒に説明します。前の記録では他社と別の額だった金額が、書き換えのあと他社と同じ額になった割合。それを何と比べるのか。よくある比べ方がなぜ答えにならないのか。

FX会社のスワップポイントは各社で似た数字が並ぶことがあり、 他社を見て合わせているのではないかと言われます。2026-08-04から2026-08-31までの各社の公表値からは、合わせているとは言えませんでした。前の記録では他社と別の額だった金額が書き換えられたのは473組。 そのうち新しい額が他社と同じだったのは169組(35.7%)でした。 動かずにいて他社が寄ってきたのは1,693組のうち105組(6.2%)で、 差は大きく見えます。しかしこの差は、合わせる動きがまったく無くても現れる形のものでした。ここでいう1組とは、ある会社のあるコースの、ある通貨ペアの買いか売りについて、 前の記録と次の記録を並べたものです。 金額は1万通貨あたりの円にそろえ、1日分だけが付く日(付与日数1日)で比べています。 出所は各社の公表ページを当サイトが毎営業日取り込んだ記録です。

数字だけ見ると、合わせているように見える

前の記録で他社と別の額だった2,166組を、 その日に金額を書き換えた会社と据え置いた会社に分けると、こうなります。

その日、金額を数えた組他社と同じ額だった組他社と同じ額だった割合
書き換えた473組169組35.7%
据え置いた1,693組105組6.2%

差は29.5ポイント(35.7%−6.2%)です。 書き換えた側のほうが、他社と同じ額になっている割合が高くなっています。 ここだけ読めば「動くときは他社の額へ寄せている」と言いたくなります。

しかしこの差は、合わせる動きがまったく無くても現れます。理由を2つ挙げます。

理由1: 動いた会社と待つ会社では、他社と同じ額になる機会の数が違う

金額を書き換えた会社は、その日に1回、値を選び直しています。 その1回で、他社と同じ額になるかどうかが決まります。 据え置いた会社には、その1回がありません。他社の誰かが自分の額へ移ってくるのを待つ側です。ところが、ある会社が金額を書き換えるのは全体の19.7%で、残りは動きません。 待つ側は、他社と同じ額になる機会がそのぶん少なくなります。

合わせる動きがまったく無いと仮定して、据え置いた側に何%現れるかを計算できます。 まず、他社が金額を書き換える。これが起きるのは全体の19.7%です。 次に、その書き換えた額が他社と同じ額になる。これが35.7%です。 2つが重なるのは19.7% × 35.7% = 7%。この掛け算は割合が小さいときの近似で、近似せずに計算すると8.3%になります。実際に観測されたのは6.2%で、どちらの計算値も下回っていました

比で見ても同じです。 書き換えた側の35.7%は、据え置いた側の6.2%の5.8倍でした。 合わせる動きがまったく無くても、この比は5.1倍 (=1÷19.7%)になる計算です。 桁が変わるほどの違いはありません。

この計算は粗い目安です。他社が金額を書き換えたとき、誰も出していない額に当たる確率を、 他社が既に出している額に当たる確率と同じものとして置いています。 実際には、誰も出していない額は他社の値から離れていることが多いので、 そこへ当たる確率は平均より低いかもしれません。 その場合、上の計算値はもう少し低くなります。 また、19.7%も35.7%も会社をまたいだ平均で、 会社ごとの書き換えの多さには開きがあります。この記事が言えるのは、実測値と計算値が同じ桁に収まっているところまでです。

理由2: 2つの数字は、同じ出来事を2回数えている

A社が金額を書き換えて、その新しい額がB社と同じになったとします。 A社では「書き換えたら他社と同じ額になった」と数えます。 B社では「動かずにいたら他社が自分の額へ寄ってきた」と数えます。1つの出来事が、2つの数字の両方に入ります。

2026-08-04から2026-08-31の記録で確かめました。 「寄ってこられた」と数えた105組のうち69組(65.7%)は、書き換えた側で数えた出来事と同じものでした。35.7%と6.2%を並べることは、1つの出来事を2回数えたうえで対比することになります。

この重なりは、実測して初めて分かったことではありません。据え置いた会社が新しく他社と同じ額になるには、誰かがその額へ動いてくるしかないので、 重なるのは数え方から決まっています。 ここで示しているのは「2つの数字を並べて比べてよいかどうか」であって、 重なりの多さそのものではありません。

では、なぜ同じ額が並ぶのか — この記事の数字で言えないこと

  • 各社が金額をどう決めているかは分かりません。決め方は公表されていないので、当サイトにできるのは公表値を記録することだけです。 同じ市場の金利を見ていれば、互いを見ていなくても近い値になります。同じ額が並ぶ頻度そのものは別のページで数えています。
  • 「合わせていない」と証明したわけでもありません。言えるのは「この期間の記録は、合わせていることの根拠にならない」までです。
  • 期間はおよそ1か月です。2026-08-04から2026-08-31までで、それ以外の期間については何も言えません。
  • 前の記録で他社と同じ額だった会社どうしが、そろって新しい同じ額へ動いた場合は、 この数え方に入っていません。前の記録で他社と別の額だった金額だけを数えているためです。
  • 金額が同じでも、取引の条件は同じではありません。スプレッド・付与日数の扱い・取引単位・実際に約定する価格は会社ごとに違います。
  • どの会社が何回書き換えるかは、別の見方です。この記事が見ているのは動いた先の値で、何回動かすか同じ日に動かすかは別のページで数えています。

何を数えたのか — 数え方の決めごと

数える単位は「同じ会社の同じコース・同じ通貨ペア・買いか売りのどちらかについて、前の記録と次の記録を並べた1組」です。 1つの会社が2つのコースで金額を出していれば、その会社は2組を持ちます。 次の記録で金額が変わっていれば「書き換えた」、変わっていなければ「据え置いた」と呼びます。 そのうえで、その日の新しい額が、他の会社の誰かと同じだったかを見ます。

決めごとは5つあります。

  • 前の記録で他社と別の額だった金額だけを数える。 前の記録の時点で既に他社と同じ額だった金額は、今日も同じである可能性が高いので外します。
  • 「他社と同じ額か」を見るときは、同じ会社の2つのコースを1社として扱います。 比較表では2行に見えますが、その2行が同じ額でも「他社と同じ額」ではありません。 (数える行そのものはコースごとで、この扱いは相手が他社かどうかの判定にだけ効きます)
  • 「前の記録」は前日とは限りません。金曜の次は月曜なので、3日空くことがあります。 記録が4日を超えてとんだところでは区切り、その間を「据え置いた」とは数えません。
  • 円が絡む通貨ペアだけを数えます。それ以外は円の金額が為替でも動くため、 会社が書き換えたのか為替が動いたのかを、公表値からは分けられません。
  • 集計の最終日は2026-08-31です。すべての会社の金額が出そろった、いちばん新しい日です。 出そろっていない日を入れると、少数の会社だけで数えた日が混ざります。

参考: 前の記録で同じ額だった組も入れると、向きが逆になる

前の記録で他社と同じ額だったかを問わずに数えると、向きが変わります。 書き換えた側は794組のうち339組(42.7%)。 据え置いた側は3,238組のうち1,537組(47.5%)。今度は据え置いた側のほうが高くなります。

据え置いた側には「前の記録で他社と同じ額で、今日も動かなかった」組が大量に入るためです。 同じデータでも、どの組を数えるかで向きが変わります。 この記事が、前の記録で他社と別の額だった金額だけを数えているのは、そのためです。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。特定の取引の推奨・投資助言ではありません。 記事中のスワップポイント等の数値は当サイトの自動収集データ(基準日 2026-09-02)に基づき、 ビルド時に自動差し込みされます。最新値は必ず各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

FX会社はスワップポイントを他社に合わせているのですか

2026-08-04から2026-08-31までの各社の公表値からは、合わせているとは言えません。前の記録では他社と別の額だった金額が書き換えられたのは473組。そのうち新しい額が他社と同じだったのは169組(35.7%)でした。動かずにいて他社が寄ってきたのは1,693組のうち105組(6.2%)で、差は大きく見えます。ただしこの差は、合わせる動きがまったく無くても現れる形のものです。理由は本文の2つの節にあります。1組とは、ある会社のあるコースの、ある通貨ペアの買いか売りについて、前の記録と次の記録を並べたものです。金額は1万通貨あたりの円にそろえ、1日分だけが付く日(付与日数1日)で比べています。

「動かずにいたら他社が寄ってきた」のは6%だけです。動いたときの35%と比べれば、合わせていると言えるのでは

その比べ方では答えになりません。動いた会社はその日に1回、金額を選び直しています。その1回で、他社と同じ額になるかどうかが決まります。動かない会社にはその1回がなく、他社の誰かが自分の額へ移ってくるのを待つだけです。他社が金額を書き換えるのは全体の19.7%なので、待つ側は他社と同じ額になる機会がそのぶん少なくなります。合わせる動きがまったく無くても、19.7%×35.7%=7%くらいは据え置いた側に現れる計算です。近似せずに計算すると8.3%になります。実際に観測された6.2%は、どちらの計算値も下回っていました。ただしこの計算は粗い目安です——他社が動いたときに、誰も出していない額へ当たる確率を、他社が既に出している額へ当たる確率と同じものとして置いています。言えるのは、実測値と計算値が同じ桁に収まっているところまでです。

その2つの数字は、別々のことを数えているのではないのですか

いいえ、多くは同じ出来事です。A社が金額を書き換えて、その新しい額がB社と同じになったとします。A社では「書き換えたら他社と同じ額になった」、B社では「動かずにいたら他社が寄ってきた」と数えます。2026-08-04から2026-08-31の記録では、「寄ってこられた」と数えた105組のうち69組が、書き換えた側で数えた出来事と同じものでした。2つを並べて比べると、1つの出来事を2回数えたうえで対比していることになります。

では、なぜ同じ額が並ぶのですか

この記事のデータでは分かりません。各社が金額をどう決めているかは公表されていないので、当サイトは観測しかできません。考えられることは複数あります。同じ市場の金利を見ていれば、互いを見ていなくても近い値になります。金額をこまかく刻まず、大きな単位で出していれば、近い値は同じ値になります。当サイトは通貨ペアごとに、金額がどこまでこまかく刻まれているかも別のページで実測しています。どれが理由かを、公表値の記録だけで区別することはできません。

この記事の数字はいつ時点のものですか

2026-08-04から2026-08-31までの各社の公表値です。2026-08-31は、すべての会社(同じ会社の2つのコースを含む)の金額が出そろった最終日です。出そろっていない最新日は集計に入れていません。期間はおよそ1か月なので、ここで読めるのは「この期間はこうだった」までです。

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