リスク公開 2026-08-17スワアビラボ編集部

両建ての証拠金は2社ぶん要る — 含み益は別の会社の口座では使えない

異業者両建て(サヤ取り)では買いと売りを別の会社に建てるため、必要証拠金はそれぞれの口座で個別に要ります。片側に生じた含み益がもう片側の維持率に反映されない理由と、建てた日を起点にレートがどこまで逆行したかを、当サイトが毎営業日記録している為替レートの実測で示します。

異業者両建て(サヤ取り)は同じ通貨ペアを2社に建てるため、必要証拠金は2社ぶん要ります。 さらにレートが動くと、片側の口座だけが評価損を抱えます——もう片側に同じだけ含み益が出ていても、 それは別の会社の残高なので、損の側の口座の維持率には一切影響しません。 当サイトが2026-06-04〜2026-09-01に記録した為替レート(市場が開いた64日)で、 建てた日を起点にどこまで逆行したかを63通りの起点ぶん数え直したところ、17通貨のうち11通貨で、 逆行が必要証拠金(取引額の4%)を超える場面がありました。 最も大きかったのはハンガリーフォリント/円の6.7%(必要証拠金の167%)です。

なぜ証拠金が2社ぶん要るのか

異業者両建ては、A社で買い、B社で売りを持ちます。買いポジションはA社の口座で、 売りポジションはB社の口座で管理されるので、必要証拠金もそれぞれの口座で個別に要ります。 同じ数量なら、単純に2倍です。

同一の会社の中で買いと売りを同時に持つ場合は、証拠金の扱いが会社ごとに違い、 各社が公表しています。ただしその形は1つの口座の中の話で、 会社をまたいだ建玉には適用されません。当サイトは各社の証拠金規則を収集していないため、 同一社内の扱いについてはここでは触れません。

証拠金が2社ぶん要るということは、口座も2社ぶん要るということです。 必要書類や本人確認の進め方は会社ごとに違うので、当サイトでは会社別に手続きを整理しています ——外為オンラインヒロセ通商DMM FX(五十音順。 どの会社を選ぶかはこのページでは扱いません)。

片側の含み益は、もう片側で使えるのか

使えません。ここが同一社内の両建てとの決定的な違いです。 レートが動くと、両建ての一方は必ず評価損、他方は評価益になります。 合計はほぼ相殺されますが、2つの数字は別々の会社の口座にあるので、 損の側の口座から見れば「証拠金が減っただけ」です。 含み益は決済して初めて現金になり、出金できる額の決まりは会社ごとに公表されています (当サイトはその規則を収集していないため、移せるかどうかには触れません)。

したがって両建てで意味を持つのは合計損益ではなく、「逆行した側の口座で、必要証拠金の何%が評価損に変わったか」です。 次の実測はその比率を出したものです。

建てた日から見て、レートはどこまで逆行したか

当サイトは各社のスワップポイントを円に直すため、毎営業日の為替レートを記録しています。 その記録(2026-06-04〜2026-09-01・市場が開いた64日)を使い、各営業日を「建てた日」と仮定して、その日より後のレートがどこまで逆行したかを 1日ずつ数え直しました。両建ては買いと売りを同時に持つので、 レートが下がれば買い側が、上がれば売り側が損になります。 どちらの向きでも片側は必ず損側になるため、下落と上昇の大きい方を逆行として取っています。 土日祝は市場が閉じており、記録は直前の営業日の値を持ち越しているだけなので、起点には数えていません。

建てた日を起点にした最大の逆行(63通りの起点・2026-06-04〜2026-09-01)
通貨ペア最大の逆行必要証拠金に対して起点の中央値最悪だった起点日
ハンガリーフォリント/円6.7%167%3.7%(92%)6月16日
トルコリラ/円5.5%136%4.5%(114%)7月1日
ノルウェークローネ/円5.3%132%3.1%(78%)6月29日
南アフリカランド/円5.1%126%3.2%(80%)8月3日
豪ドル/円4.7%116%2.8%(69%)8月3日
ポーランドズロチ/円4.4%111%2.3%(56%)6月5日
香港ドル/円4.4%111%2.5%(62%)7月28日
スイスフラン/円4.4%111%3.1%(77%)6月4日
米ドル/円4.4%110%2.6%(64%)7月28日
NZドル/円4.3%108%2.6%(64%)6月24日
メキシコペソ/円4.2%104%2.4%(60%)8月3日
カナダドル/円4.0%99%2.4%(59%)7月24日
スウェーデンクローナ/円3.9%98%2.0%(50%)6月5日
英ポンド/円3.7%92%2.1%(54%)7月16日
シンガポールドル/円3.7%92%2.1%(53%)7月24日
チェココルナ/円3.5%88%2.3%(57%)7月30日
ユーロ/円3.3%84%2.3%(58%)7月30日

「必要証拠金に対して」の列が100%を超えている通貨は、 その期間のどこかで建てていれば、必要証拠金と同額以上の評価損を 片側の口座が抱えた計算になります。11通貨が該当しました。 最も動きが小さかったユーロ/円でも、最大の逆行は必要証拠金の84%です。

「最大の逆行」の列は、期間の高値と安値の差と一致します—— 最も早く来た極値の日それ自体が1つの起点になるからです。 値幅と別物なのは「起点の中央値」のほうで、63通りの起点の真ん中の値です。 中央値は半分の起点でそれ以上の逆行があったことを意味し、 「いつ建てたかによって受ける動きがどれだけ違うか」を表します。

必要証拠金の4%とは何か

日本の個人口座はレバレッジの上限が25倍と定められており、 必要証拠金は取引額の4%(1÷25)になります。 つまりレートが4%逆行すると、必要証拠金と同じ額の評価損になります。 この比率は取引数量に依存しないので、1万通貨でも10万通貨でも同じです。

ただし4%は法令上の下限です。 実際に各社が求める証拠金額は会社ごとに公表されており、これより多い場合があります。 当サイトは証拠金率を収集していないため、上の表は 「下限で計算したときの比率」として読んでください。

この数字の出し方と、確かめられていないこと

元になっているのは、当サイトが各社のスワップポイントを円に直すために毎営業日記録している 為替レートです(2026-06-04〜2026-09-01・17通貨・生成日2026-09-02)。 このレートは/data/rates.jsonとして公開しているので、 同じ計算を再現できます(配布データの案内)。

  • 1日1回の記録なので、日中の高値・安値は含まれていません。実際の逆行はここに出た数字より大きかった可能性があります。
  • 起点によって、その後を観測できる日数が違います。窓の終わりに近い起点は数日ぶんしか測れないので、中央値は 長く持ち続けた場合より小さめに出ます。
  • 土日祝の値は直前の営業日の持ち越しです。配布データでは carried の印が付いており、上の集計では起点から外しています。
  • 円建てのペアだけです。ユーロドルのようなクロスペアは、損失と証拠金が別々の通貨で動くため、 同じ表には並べられません。
  • スワップポイントの受け払いは含めていません。両建てで日々受け取る差額は別の話で、損益分岐日数で扱っています。
  • 証拠金の規則そのものは各社の公表物が正です。当サイトが持っているのはスワップポイントとスプレッド、為替レートだけです。

両建てで起きうる他の事柄(片側だけの強制決済、週明けの窓、約款の扱いなど)はスワップサヤ取りの5大リスクで整理しています。

本記事は一般的な情報提供を目的としています。特定の取引の推奨・投資助言ではありません。 記事中のスワップポイント等の数値は当サイトの自動収集データ(基準日 2026-09-02)に基づき、 ビルド時に自動差し込みされます。最新値は必ず各社公式サイトでご確認ください。

よくある質問

異業者両建ての証拠金は、片方の会社だけに入れれば足りますか

足りません。買いと売りは別々の会社の口座で建てるので、必要証拠金はそれぞれの口座で個別に要ります。片方の口座に含み益が出ても、それは別の会社の残高なので、もう片方の口座の維持率には反映されません。

レートはどれくらい動くと必要証拠金1回ぶんが消えますか

個人口座のレバレッジ上限は25倍なので、必要証拠金は取引額の4%です。したがって4%逆行すると、必要証拠金と同額の評価損になります。当サイトが2026-06-04〜2026-09-01に記録したレート(市場が開いた64日)では、17通貨のうち11通貨で、建てた日から見た逆行が4%を超える場面がありました。

表の「最大の逆行」は、期間中の値幅と同じものですか

同じです。最も早く来た高値または安値の日それ自体が1つの起点になるので、最大値は必ず期間の値幅(高値と安値の差)と一致します。値幅と違うのは「起点の中央値」のほうで、こちらは建てた日ごとに測り直した分布の真ん中であり、いつ建てたかによって受ける動きがどれだけ違うかを表します。

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